FAQ~よくある質問~

表面処理やめっきについて寄せられる質問の中からよくいただくご質問をまとめました。

(注)特に限定がない場合の“めっき"は、電気めっきを示しています。
※お知りになりたい事項がない場合、また詳細につきましては、なんでも相談室からお気軽にお問い合わせください。

鉄素材に対するめっき

鉄鋼材料にクロム、ニッケル、銅などのめっきをしたいのですが、使用条件によって
剥離しないでしょうか?

さまざまな使用条件下における剥離ですが、基本的にめっきと素材との関係は、素材金属とめっき金属との原子同士をいかに近接させるかにかかっており、その結合力も金属と金属との結合に基づきます。
めっきの密着性を左右する要素技術は素材表面をクリーンな状態にする前処理技術にあり、不適合(不良)の原因の90%は前処理段階で発生します。
そのため、適切に前処理された金属素材表面からはめっき皮膜が剥離することはなく、適切に前処理しためっきの剪断密着強度は素材ないしめっきの剪断強度となって界面で外れることはありません。もし界面で外れるのであれば、これはめっき前処理方法に改善の余地があり、ベストなプロセスを採用していないためであると言えるでしょう。
なお、当社では剪断密着強度を測定するためにJIS-G-0601に規格化されているクラッドスチール剪断試験方法を採用しております。

鉄鋼材料からなる物品に被覆したクロムめっきが腐食したのですが、なぜでしょうか?

このお問い合わせを頂く場合には、大きく分けて以下のケースに大別されます。

①クロム自体は腐食していないが、クロムめっきの微細なクラックを通して素材が腐食する現象
②クロムめっき自体が特定の薬剤に侵されて腐食した現象

①の場合、クロムめっきが素材の表面から鱗片状になって脱落したり膨れた箇所があって、その箇所では褐色の日常良く見られる赤錆が発生しています。このケースの場合、クロムめっきが腐食されている訳ではなく、下地の鉄材が腐食したことによりクラックを通して錆が表面に上昇し、顕在化した状態です。この場合の簡単で最も有効な対処方法は、下地とクロムめっき層の中間へニッケルめっきを施工することです。

②の場合は錆もあるがクロムめっき自体も光沢を失い、白く変色したり、緑色の生成物が発生しています。
これらクロムめっきの腐食については一度当社にお問い合わせください。
その際に、お客様での使用条件などについてもお伝え頂ければ、有効な対処法をご提案させて頂きます。

アルミニウム素材に対するめっき

アルミニウムにめっきは可能ですか?

原則的には可能です。ただし、全てのアルミニウムに対して密着性に優れためっきができるわけではありません。めっきに適するアルミニウムのグレードはJIS規格で1000(純アルミニウム)、5000、6000番台の素材となります。それ以外のグレードにもめっきは可能ですが、密着性は保証できません。
2000、7000番台のアルミニウムへのめっき密着性はあまり良好ではなく、90度方向のピール(引剥し試験)で0.5kg/cm以下の強度となり、平板では剥離しやすいものとなってしまいます。
なお3000番台のアルミニウムへのめっきをご要望される場合は、一度当社へご相談ください。

めっきに適したアルミニウム材料では、どの程度の密着強度となるのでしょうか?

アルミニウムのグレードによって異なりますが、純アルミニウムは密着性が高く、90度方向ピール強度は、>20kg/cm以上にも及びます。またロール素材に多く使われているマグネシウム系のアルミニウム合金では若干低く、10kg/cm以上というデータが得られています。

アルミニウムにはどの様な方法でめっきするのでしょうか?
またクロムめっきは施工可能でしょうか?

アルミニウム、チタン、ステンレス材などは表面に強固な不働態(酸化)被膜が存在するため、一般に難めっき材料とされていますが、これらの材料に対しても適正な前処理を行えばめっきは可能です。
アルミニウムとその合金の最も一般的なめっき手法は、めっき前に素材に対して亜鉛を置換するジンケート処理を行なうことですが、そのまま直接クロムめっきを行うとクロムめっき固有のクラックの存在と亜鉛置換膜の存在が腐食促進因子(水分、亜硫酸ガス、塩素など)による界面(境界)腐食を起こしやすくなります。そのため機能上はクロムめっきの性質が必要な場合であっても、まず耐腐食性を付与するためニッケルめっきを行った後にクロムめっきすることを推奨しています。
なおジンケート処理で亜鉛置換したアルミニウム材に直接めっきできるクロム以外の金属は、亜鉛置換膜の性質上の制約が多くなるため、たいていは条件を限定したニッケルや銅めっきを介して目的とする皮膜をめっきすることが多くなります。

セラミック素材に対するめっき

セラミックにめっきは可能ですか?

可能ですが、セラミックは絶縁体であるのでそのまま電気めっきはできません。
通常は導電ペーストを焼成して導電ベースを形成したり、プラスチックめっきと類似する方法で無電解めっきを被覆することで導電ベースを設け、目的とする電気めっきに移行します。ただし密着性の問題もありますので、支障のない範囲で構いませんので当社にどの様な用途に適用したいのかご相談ください。
また、素材を提供して頂ければ当社でめっきしてご返却致しますので、使用に耐え得るかどうかの評価をして頂くことも可能です。
なお、当社への依頼の多いセラミック素材はアルミナ、ジルコニアなどで、施工を要望されるめっき皮膜としては無電解ニッケル、電解ニッケル、銅めっきなどが挙げられます。

カーボン素材に対するめっき

カーボンにめっきは可能ですか?

可能です。ただし、そのままではめっきに耐えられるだけの電流を流せないため、通常は導電塗料を塗布し、その上にめっきしております。
また通常の場合、カーボンを固着している樹脂(CFRP)が熱に弱いため、どうしても耐熱性は低くなります。

被覆できるめっき皮膜について

アルミニウムやマグネシウムあるいはニオブなどの金属そのものを電気めっきできますか?

通常の水を溶媒とする電気めっきはできません。
アルミニウム、チタン、ニオブなどが水溶液中から電気めっきできない理由は、イオン化傾向(標準電極電位)の問題があるためです。水素に対して極端に卑電位なこれらの金属で電気めっきを行うと、常にめっき金属と水からの水素のめっき(水素ガスの発生)との競争反応が起こり、水素だけが優先的にめっきされて目的の金属はめっきされません。
水溶液による電気めっきに限定しなければ、アルミニウムは融点が低いことを利用して溶融させてめっきする、俗に言うどぶ漬めっきが可能です。また融点の高いニオブなどは、真空チャンバーを利用する真空蒸着などの乾式めっきであれば、めっきが可能です。

クロムめっきの水素脆性を懸念していますが、どういった対策を取る事が可能ですか?

当社手順で昇温させる事により、脱水素処理を行うことが可能です。
詳しくは当社までご相談ください。

DLC(Diamond-Like Carbon)について

被膜の厚みはどこまで厚く施工できますか?

タフカーボンならば厚み0.6μmまで、タフコンダクターならば厚み0.2μmまでの施工実績がございます。
それ以上の厚さの施工につきましては当社までご相談ください。

どのくらいの面積や範囲に施工が可能ですか?
また形状などに制限はありますか?

成膜可能な面積はタフカーボンならφ100mm、タフコンダクターはφ50mmの範囲が基本となります。それ以上の面積、範囲の場合は別途当社までご相談ください。
また、施工に当っては掴みしろが必要となりますので全面施工はできません。立体的な凹凸形状(角度のついた面や穴の内壁、底など)については十分な成膜品質を保証できません。

めっきの欠陥かな?と思ったら

クロムめっきを施工したのに腐食が始まったのですが?

クロムめっき自体の耐食性は高いのですが、クロムめっきに特有のクラック特性を有しているので、クラックから腐食促進物質が侵入し、母材が腐食される場合があります。
野村鍍金ではこういった母材の腐食を防ぐために、特殊な中間層を設けたタフクロムをご提供しております。

タフクロムの詳細はこちら

使用していたクロムめっき製品が数ヶ月~1年の間にクラックを通して下地腐食を起こしました。
以前の製品では同じ使用条件で数年間異常はありませんでした。これはめっきの欠陥ではないでしょうか?

一般的なクロムめっきの場合、利用している浴の種類や組成はどのめっき業者でもほぼ同一のもので、最も光沢と硬度の高い条件を選定してめっきされています。この過程で品質に差が生じる場合、主にめっき液内部の不純物が原因となります。
当社では徹底した品質管理により、こうしためっき不良の原因を取り除くとともに、技術開発により母材の腐食防止や表面パターン転写を防ぐためのタフクロムやクラックレスクロムめっきなど高品質で長寿命の製品をご提供しております。
また、表面に水を利用する様なロールであれば水質の影響、湿度の影響、外部環境(大気の汚染状態)の変化や保管状態などが下地に影響を与える場合もありますので、そうした環境でご使用の場合は是非一度当社までご相談ください。

当社(野村鍍金)について

表面処理だけでなく、設計・機械加工も可能なのでしょうか?

当社は各種めっきといった表面処理だけでなく、製図、機械加工設備も取り揃えております。また、それらを組み合わせて素材からの一貫加工・製造も承ります。お困りごとがございましたら、是非当社までご相談ください。

設計・製作の詳細はこちら

ロール以外のめっきも可能ですか?

モールド・ダイス・ブレード・ピストンロッド・金属Oリングなどへの施工実績がございます。
各種金型・スリーブ・鉄道部品・加速器部品などへのめっき・電鋳も承ります。
また、DLC(タフカーボン・タフコンダクター)は電子部品への施工も可能です。
その他、施工可能な製品も多数ございます。是非当社までご相談ください。

ご相談・お問い合わせは、こちらから

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